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原始・古代

奈良時代の竪穴式住居の特徴とは?|歴史に学ぶ住まいの知恵

奈良時代の竪穴住居の特徴とは?|歴史に学ぶ住まいの知恵 原始・古代
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こんにちは、伊藤です。
今回は、奈良時代の一般的な居住施設である「竪穴式住居」についてお話ししたいと思います。

奈良時代(710年~794年)というのは、日本の歴史の中で初めて平城京を都として定めた時代です。
この時代には、日本の家の歴史において重要な役割を果たした竪穴式住居という特徴的な建築様式が広く用いられていました。

この記事では、奈良時代における竪穴式住居の特徴やメリット・デメリット、内装や生活用品などについて考古学者の視点から解説していきます。
また、竪穴式住居から平安時代に移行した建築様式の変化にも触れていきます。

竪穴式住居とは

竪穴式住居というのは、地面をくりぬいて床面にし、その中に柱を建てて屋根をかけた建築物のことです。
このような住居は、主に人々の暮らしの場として利用されましたが、時には工芸品を作る工房や死者を安置する喪屋としても機能しました。
竪穴式住居の歴史は古く、縄文時代から存在していましたが、奈良時代にも広く普及していた居住形態でした。
竪穴式住居は、日本の古代社会の生活様式や文化を知る上で重要な遺構です。

竪穴式住居の構造

床面と周堤

奈良時代の竪穴式住居は、方形や楕円形などの多様な形をした半地下式の構造でした。
地面を60cmほど掘り下げた部分が床面となり、その周りに盛り上げた土で周堤を形成しました。
出入り口は南向きに設けられ、階段や小穴があって出入りできるようになっていました。

屋根と柱

床面からは4本から6本の主柱が伸びており、その上に梁や垂木を並べて土や草などで屋根を覆いました。
屋根は地面のすぐ近くまで垂れ下がっており、外からは目立ちませんでした。

炉とカマド

床面の中央や一方には炉が設置されており、食事の準備や暖を取るのに使われました。
壁面にはカマドという土製の調理器具が備えられていました。
カマドはドーム状の覆いと火をおこす焚き口、煙道から構成されており、中央に甕と支脚が置かれていました。

竪穴式住居のメリットとデメリット

竪穴住居のメリットとデメリット

竪穴式住居のメリット・デメリットについて考えてみましょう。
古代には日本だけでなく、世界各地で見られた住居形態ですが、その特徴は何だったのでしょうか。

メリット

まず、メリットとしては、気候に適応できることが挙げられます。
地面の中にある部分は、外気温の影響を受けにくく、冬は暖かく夏は涼しくなります。
そのため、住人は一年中快適に暮らすことができました。
さらに、地面に固定されていることで、地震や台風などの自然災害にも強く、安全性が高かったこともメリットです。

デメリット

一方、デメリットとしては、衛生面や防災面に課題があったことが挙げられます。
地面の中にある部分は、湿気がこもりやすく、カビや虫などの発生源となりました。
これらは病気や感染症の原因となり、健康を害する可能性がありました。
また、火事や洪水などの災害にも対処しにくく、被害を拡大させる恐れがありました。

竪穴式住居の内装と生活用品

内装の様子

竪穴式住居の内装は、現代の家と比べると非常にシンプルなものでした。
床面は土間で、寝具や座布団などを敷いて快適に過ごしていました。
壁面には、木の枠や竹の編み物などで棚や掛け物を作って、生活用品を収納していました。

生活用品の種類

生活用品としては、土器や木器が主に用いられていました。
土器には、須恵器や土師器という種類があり、料理や保存などに役立てていました。
これらの生活用品は、当時の人々の暮らしや文化を知る上で貴重な資料となっています。

竪穴式住居から平安時代の建築へ

竪穴式住居の衰退

平安時代には、日本の建築は大きな変化を遂げました。
それまでの奈良時代には、竪穴式住居が主流でしたが、平安時代に入ると地上式の建物が普及しました。

地上式の建物の隆盛

地上式の建物とは、地面に柱を立てて梁で結び、床を高くして屋根を軒下まで延ばした住居のことです。
この住居は、中国の唐から伝わった様式を日本風にアレンジしたもので、広々とした明るい空間を作り出しました。
さらに、四季の移ろいや自然の風景を楽しむことができるように工夫されました。
平安時代の建築は、貴族や僧侶の文化や美意識を反映しており、日本の伝統的な建築様式の基礎となりました。

まとめ

これまでに紹介した奈良時代の竪穴式住居は、日本史上初めての都市文化を支えた重要な建築物です。
竪穴式住居は、地面を掘り込んで床とし、柱と屋根で囲んだ半地下式構造でした。
この構造は、冬暖かく夏涼しいというメリットがありましたが、湿気や虫が多く不衛生だったというデメリットもありました。
竪穴式住居の内装は簡素で、陶器や木器などの生活用品が使われていました。
奈良時代の竪穴式住居は、平安時代になると地上式の建物に取って代わられました。
地上式の建物は、中国の唐の影響を受けたもので、日本独自の美意識や文化を表現したものでした。

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