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中世・近世

ししおどしの魅力と歴史

ししおどしの魅力と歴史 中世・近世
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こんにちは、歴史好きな伊藤です。
今回は、日本庭園の代表的な装置のひとつである「ししおどし」についてお話ししたいと思います。

日本庭園に欠かせないアイテムのひとつが、ししおどしです。
竹で作られた水を汲み上げる仕掛けは、見た目も音も癒し効果があります。
しかし、ししおどしはもともとは庭園の装飾ではなく、農作物を守るための道具だったのです。

この記事では、ししおどしの歴史や効果、について紹介します。

ししおどし(鹿威し)とは?

「ししおどし」とは、漢字で「鹿威し」と書きます。
これは、田畑を荒らす鹿や猪などの動物を音で驚かせて追い払うために作られました。
水を溜めた竹筒が重くなって倒れると、石にぶつかってカーンッと小気味よい音がします。
この仕組みは「添水(そうず)」と呼ばれます。

この道具の名前は、「鹿を威嚇する」という意味からつけられました。
「獅子脅し」や「獅子威し」という書き方もありますが、正しい漢字は「鹿威し」です。

ししおどしの歴史

「ししおどし」が作られたのは、江戸時代に入ってからのことだと言われています。
最初に「ししおどし」を考案したのは、京都にある詩仙堂(しせんどう)というお寺だそうです。

詩仙堂は、徳川家に仕えた武将であり文人の石川丈山(いしかわじょうざん)が隠居するために建てた山荘です。
その後、曹洞宗のお寺になりました。
詩仙堂は山の麓(ふもと)にあったため、夜ごと出没する鹿や猪を追い払うために「ししおどし」を作り、設置しました。

石川丈山は隠居後は禅を学んだり、漢詩や書の作成に励み作庭家としても活躍しています。
茶の道にも通じていたため、ただ獣を追い払うだけの粗暴な音とせずに、美しく自然に調和し心を落ち着かせる今のししおどしの形を生み出せたと私は考えています。

ししおどしの効果

「ししおどし」は、農作物を守るために動物たちを追い払うという目的で作られましたが、その効果はあまり高くありませんでした。
動物たちは音に慣れてしまったり、音だけでは人間が来ないことを覚えてしまいました。

しかし、「ししおどし」の音は、人間にとっては心地よい音でした。
その音に耳を傾けると、心が落ち着き洗われるような清々しい気持ちになれます。
現代の言葉で言うと、リフレッシュ効果が得られるのです。
そして、風情ある音として、日本庭園などで楽しまれるようになりました。

ししおどしの作り方を仕組みと工夫で読み解く

「ししおどし」の仕組みは、竹筒に水を溜めて重みで倒れるときに石を叩くという単純なものですが、細かな工夫がされています。

竹筒の先端

まず、竹筒の先端は斜めに切られています。
これは、水がゆっくりと流れ込むようにするためです。
水が速く流れ出すと、水圧で竹筒が壊れたり、元に戻らなくなったりするからです。
また、竹筒の奥に水が入りすぎないように、斜めの切口の近くに竹の節が残されています。

竹筒の支点

次に、竹筒の中央あたりに支点があります。
これは、竹筒がバランスよく倒れるようにするためです。
支点がないと、竹筒は水の重さで片方に傾きっぱなしになってしまいます。

石の形

最後に、竹筒が叩く石は平らではなく、凸凹しています。
これは、音の響きを良くするためです。
平らな石だと、音が小さくなってしまいます。

ししおどしの魅力

「ししおどし」は、動物を追い払うという本来の目的を果たせなかったとしても、人間にとっては魅力的な道具です。
その魅力は、音だけではなく見た目や動きにもあり、日本庭園の象徴的装飾品とも言えます。

音と動きの不規則さ

「ししおどし」は、竹筒が水を溜めて倒れるという単純な動きを繰り返しますが、その動きは不規則です。
水の流れや風の影響で、竹筒が倒れるタイミングや音の大きさは変わります。
そのため、「ししおどし」を見ていると、飽きることがありません。

自然素材の和風美

また、「ししおどし」は、竹や石という自然素材で作られています。
そのため、年を重ねるほどに味わい深い趣ある見た目に変わっていきます。
それは周囲の景色に馴染んで、和風の雰囲気を演出します。

日本庭園の静寂と癒し

「ししおどし」は、日本の伝統的な知恵と美意識が詰まった装置です。
その音に耳を傾けながら、日本庭園の静寂を楽しむのは、心身ともに癒される体験です。
「ししおどし」は、日本人の心に響く魅力を持っています。

まとめ

「ししおどし」は、もともと鹿や猪を追い払うために作られた道具ですが、その音は人間にとって心地よい音でした。
そのため、風流を楽しむという意味で日本庭園に取り入れられるようになりました。
また、「ししおどし」の音は、疲れを癒やしたり、リラックスしたりする効果があります。

ししおどしの音を聞く機会があったら、ぜひその音に耳を傾けて風流を楽しんでくださいね。